エノクは神とともに歩んだ。神が彼を取られたので、彼はいなくなった。(創世記5:24)
創世記5章には、アダムからノアまでの系譜が記されている。アダムの長男カインの子孫は神を離れた方向へと進んいくが、神は三男のセツの子孫を祝福し、神に従っていくという流れが生まれることで、救済史としての大きな転換期が訪れる。
アダムから数えて7代目のエノクは「神とともに歩んだ」と記されている。神は「あなたとともにいる」と人間に語りかけるが、彼は、65歳の時に内面に何らかの変化があったのであろう、その時から能動的に神とともに歩むことを決断し、そのように歩んだのである。私たちも人生のある時点で、その決断をしなければならない。エノクが365歳の時、「神が彼を取られたので、彼はいなくなった」(24)。彼が死を見ることなく神に移されたのは、やがてキリストの日に主を信じる者が引き上げられて空中で主と出会うことの先取りとしての出来事。主とお出会いするその時を私たちも待ち望むことができる。ヘブル人への手紙の著者は、「信仰によって、エノクは死を見ることのないように移されました。神に移されて、見えなくなりました。移される前に、彼は神に喜ばれていることがあかしされていました」(ヘブル11:5)」と語る。「信仰」と訳されていることばは、「まこと」とも訳せる。エノクという名前は「従う者」という意味。エノクのように、神とともに生きていくことを決断し、まことをもって神に従う者を、神は喜んでくださる。