私の霊をあなたの御手にゆだねます。(詩篇31篇5節)
(詩篇31篇5~8節より)
国のトップであり、地位も名誉も権力もほしいままにしていたダビデだが、「私の霊をあなたの御手にゆだねます」と、自分の力には頼らずに、神により頼んでいるという信仰告白をする。移ろいゆく人間の力ではなく、とこしえに変わることのない全知全能の神に委ねることこそが最も安心安全なのだという、宗教的なリーダーでもあった彼の、国民に向けてのメッセージがそこに込められているのかもしれない。
そしてこの言葉は、キリストが十字架の上で叫んだ最後の言葉でもある。この詩篇の言葉が神の贖いのわざの預言となっていて、神の御子キリストが十字架でいのちを捨てたことで成就したということが表されている。
霊を委ねるというは、人間の思いではなく、神のみこころに自分を委ねていくこと。イエス様は「わたしが望むようにではなく、あなたが望まれるままに、なさってください」(マタイの福音書 26章 39節)と父なる神に祈り、十字架に向かって進んでいった。
ダビデが「私の足を広いところに立たせてくださいました」(8)と歌うように、神はご自身に委ねた者を、悪しき者から解放された祝福の場所、神の恵みの場所に導いてくださる。私たちはそこで神の栄光を見ることができることは何と幸いなことであろうか。